土器からわかる縄文人の移動と交流

昨日、「尖石縄文文化賞」の授賞式が尖石考古館であった。この賞は考古学者、故宮坂英弌氏の業績を記念して設けられたもので今年が16回目になる。
今年度は、長野県埋蔵文化財センター調査研究員の水沢教子さんが受賞した。
水沢さんは受賞記念の講演で発掘された土器から縄文人の移動と交流がわかることを話した。


私は、発掘されて出てくる土器は、「そこに住んでいた人が作ったもの」と漠然と思っていたがどうも違うらしい。
水沢さんは土器を分類するとき
①土器の原料の「胎土(粘土とそこに混ざっている砂)」がどこ産か。
②土器の形
③土器の製造技術
の3つの要素があると言い
水沢さんは主に①の胎土の研究に時間を費やしているようだ。
土器の破片から粘土の成分の分析(エックス線分析)と
砂(=結晶)のプレパラート解析を行い、どんな鉱物なのかを解析、その粘土と砂の成分から粘土と砂の出土地域を解析、胎土がどこ産かを突き止める研究から見えてくることを明らかにした。
「胎土が東北産、土器の形と製造技術の特徴も東北、出土が長野県」の土器は、「東北地方で作られ、長野県に運ばれた」と読み解くことができるという解析だ。
実に実証的で納得の論理だ。こうやって縄文人の「交流」を突き止めようという研究だ。
30分という短い話だったがその先を知りたい思いに駆られた。いい話だった。

受賞記念講演をする水沢教子さん
受賞記念講演をする水沢教子さん

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